事業を取り巻く環境は、ニーズの多様化やテクノロジーの進化により、ライフサイクルが短期化する傾向にあります。そのため、新規事業の立ち上げは、企業にとって中長期的な事業存続に繋がる重要な取り組みとなります。
しかし、新規事業を立ち上げるにあたって、何から始めるべきかや進め方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新規事業を立ち上げる際に必要なプロセスを、順を追って解説します。新規事業の立ち上げのガイドとして、ぜひ参考にしてください。
STEP1:新規事業の立ち上げに必要なことは、まずは自社の「経営資源」を整理すること
新規事業を立ち上げる際にまず考えるべきことは、自社の経営資源を十分に把握することです。「事業ドメイン」や「アイデア」の検討も重要ですが、それ以前に、自社がどのようなリソースを持っているかを明確にすることで、より効果的な戦略を立てることができます。
STEP1では、経営資源を整理するための6つの項目をご紹介します。従来の「ヒト・モノ・カネ・情報」に加え、近年注目されている「時間」と「知的財産」を含めた6つの経営資源です。
ヒト(人材・人的資源)
かつて「経営の神様」と称された松下幸之助は、「事業は人なり」という言葉を残しています。これは、企業経営における非常に重要な真理を示しています。特に新規事業の立ち上げにおいては、適切な人材を確保し、その能力を最大限に引き出すことが、事業の成功に直結します。
新規事業では、柔軟性や創造性、問題解決能力が特に求められます。そのため、適切な人材を確保するには、採用プロセスを丁寧に設計し、候補者の潜在能力や適性を見極めることが重要です。
モノ(設備)
「モノ」には製品や商品だけでなく、企業が保有する設備や備品、不動産などの物理的な資産がすべて含まれます。有体物としては、不動産、ハードウェア、設備、車両、机などさまざまなものがあります。新規事業においても、これらの「モノ」が適切に整備されているかどうかが、事業の効率性や成功に大きな影響を与えます。
カネ(経営資金)
「カネ」とは、現金や預金、金融資産などを指します。資金が滞ると、優秀な人材の確保や施設・設備の運営が難しくなるため、経営資源の中でも最も重要とされています。
さらに、「カネ」があれば、他の経営資源を調達することも可能です。そのため、必要な資金を確保し、目標達成に向けた適切な投資が求められます。「カネ」を有効に活用し、将来の利益を生み出す事業に適切な投資を行うことが重要です。
情報
「情報」とは、企業が持つノウハウや顧客データなどの無形資産を指します。ITの発展により、GoogleやAmazonのような巨大企業が集めたビッグデータは、顧客への的確な広告などに利用され、データが価値を創出する力が大幅に高まっています。
顧客データや統計データといった情報は、その活用方法によって価値が大きく変わります。このように、データは競争力を生み出す重要な経営資源として、その価値が一層高まっています。
時間
近年、新たな経営資源として注目されているのが「時間」です。経営資源としての「時間」とは、例えば、製品を提供するためのリードタイムを短縮することで企業が利益を得ることや、M&Aによって他社のノウハウを取得し、新規開拓の手間を大幅に短縮することなどが挙げられます。
変化の早い時代において、「時間」を有効に活用することは、経営資源として非常に重要だと言えるでしょう。
知的財産
企業が持つ「知的財産」は、大きく3つに分けられます。
特許権や意匠権など、商品の中身や技術に関するもの
商標やブランドなど、市場における信用に関するもの
著作権など、表現や創作に関するもの
「知的財産」は、市場における競争優位性を高めるだけでなく、ライセンス契約や特許などを通じて収益源の多様化にもつながります。また、知的財産を保有する企業は投資家からの評価も高くなり、市場価値の向上にも寄与します。
STEP2:新規事業の立ち上げ「失敗しないため」に必要なことを知る
STEP1では、自社の経営資源を整理することについてご紹介しました。STEP2では、その経営資源を具体的に活用し、新規事業の立ち上げに失敗しないための重要なポイントをしっかりと押さえることが大切です。
新規事業立ち上げメンバー全員が当事者意識を持つこと
新規事業の立ち上げにおいて、メンバーの人選は事業の成否を左右するほど重要です。新規事業を成功させるためには、チームメンバーが高い当事者意識を持ち、共通のビジョンを共有することが大切です。
新規事業は、試行錯誤を繰り返しながら進めることが多く、難しい意思決定を求められる場面も多々あります。その中で、事業に対して能動的に取り組み、推進力を高めるためには、メンバー全員が当事者意識を持って行動することが重要です。
関係者は出来るだけ少なくする(多くしすぎない)
新規事業立ち上げのプロジェクトチームとしては、人的リソースを多く確保し、適任者を増やしたいところです。しかし、関係者が多くなりすぎると、チーム全体の認識の共有が遅れたり、意思決定が遅くなるなど、スピード感が損なわれる懸念があります。また、過剰な人件費は事業の負担となります。
そのため、新規事業の立ち上げにおいては、事業が安定するまでは最小限の人員でスタートし、スモールスタートを目指すことが望ましいでしょう。
チームメンバーに必要な権限を与える
新規事業の進捗が停滞しやすい要因として、会社の上層部が新規事業の権限を握りすぎているため、チームが主体的にアプローチできないことが挙げられます。
新規事業の立ち上げでは、予期しない事態や、これまで取引のなかった新規企業とのやりとりが増えます。チームにある程度の予算や意思決定の権限を与えることで、主体的に動き、スピード感を持って事業を推進することができます。さらに、チームに権限を持たせることで、メンバーのモチベーションが向上し、新規事業の推進がよりスムーズに進むでしょう。
事前準備をおろそかにしてはならない
新規事業を成功させるためには、いきなり開始するのではなく、十分に準備を整えることが必要です。新規事業を立ち上げ、軌道に乗せるためには、準備を怠らず、しっかりと計画を立てることで、リスクを最小限に抑え、事業を順調に進めることができます。
新規事業アイデアの壁打ちは必ずする
「壁打ち」とは、自分のアイデアを他人に話すことで考えを整理することを指します。「壁打ち」は、思考の整理や客観的な視点、新たな知見を得るために有効な手段であり、ビジネスプランのブラッシュアップに役立ちます。また、言語化することで曖昧な点が明確になることが非常に重要です。
新規事業の壁打ち相手としては、商工会議所などの無料相談機関があります。さらに、事業アイデアがある程度まとまった際には、適切なフィードバックを提供できる専門家に壁打ちを依頼することが、最も効果的です。新規事業を進める中で、プランを自分一人で深掘りするのは容易ではないためです。
専門家に壁打ちを依頼するメリットとして、事業プランの分析や修正が効率的に行えることが挙げられます。また、専門家であれば、情報漏洩などのコンプライアンスの問題もクリアできます。壁打ちを行う際には、相談内容に応じた適切な相談先を選定することが大切です。無料で専門家を紹介するサイトもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
参入分野に関する知識を得る(もしくは専門家をメンバーに入れる)
新規事業が新しい分野に進出する場合、自社に必要なノウハウが蓄積されていないことがあります。その結果、新規事業の立ち上げが手探り状態となり、専門的な知識の不足が大きなリスクとなる可能性があります。
このような場合、参入予定の分野に関する情報を入手し、知識を習得することが重要です。また、その分野に精通した専門家をメンバーとして招き入れることも有効です。さらに、外部のリソースを活用したり、関連分野に強みを持つ企業との提携を検討することも必要でしょう。
撤退ラインを必ず引くこと
どんな事業にも必ず成功する保証はありません。新規事業を推進する中で損失が膨らんだ際に、「GO」か「STOP」の判断を冷静に行うためには、事業を始める前に「事業撤退のライン」を設定しておくことが重要です。これにより、経営の圧迫を防ぎ、損失を最小限に抑えることができます。また、「これ以上は後がない」というラインを設定することで、メンバーの覚悟も固まります。
市場へ参入するタイミングを逃さない
新規事業者がターゲット顧客にリーチする方法や、商品やサービスをリリースするタイミングは、非常に重要な市場参入戦略の一部です。市場の需要がまだ少ない早すぎる時期や、競争が激化している時期を避け、最適なタイミングを逃さないためには、継続的な市場調査や分析が必要です。
また、参入の好機を意識しながら全体のスケジュールを組み、社内の合意形成に時間をかけすぎてタイミングを逃さないよう、事前の準備や調整をしっかりと行うことも大切です。
リソース(ヒト/モノ/カネ)不足にならないように多く確保する
新規事業の立ち上げには、ヒト・モノ・カネといったリソースを十分に確保することが重要です。これらが不足すると、事業の立ち上げや成長の段階でリソース不足により、必要なマーケティング活動が進められず、認知度の向上が妨げられます。その結果、事業が停滞し、期待した収益を得られなくなる可能性があります。
目標とする売上や利益を達成するためには、どの程度のリソースが必要かを試算し、リソースが不足しないようにすることが大切です。
関係者のモチベーションを保つようにする
新規事業を推進するうえで、「なかなか事業の成果が出ない」「スケジュール通りに進まない」「業務量が多すぎる」「メンバーや関係者とのコミュニケーションが難航する」など、いくつもの壁に直面することが多いでしょう。そのため、メンバー一人ひとりが最適なパフォーマンスを発揮できるように、モチベーションを維持できる環境を整えることが必要です。
自社なら大丈夫だと思い込まない
新規事業を推進するうえで、高いモチベーションを保つことは重要ですが、事業への過信や強すぎる思い入れは、現状や変化を見過ごし、適切な判断を行うタイミングを逃すリスクがあります。高いモチベーションを維持しつつも、市場や顧客のニーズの変化を冷静に把握することが必要です。
STEP3:新規事業の立ち上げに具体的に必要なこと15個を実施する
STEP3では、これまで紹介してきた新規事業の立ち上げに必要な事項について、具体的な実施方法を紹介します。
新規事業の立ち上げには多くの課題とリスクが伴いますが、計画的かつ体系的に進めることで成功率を高めることが可能です。ここでは、新規事業を成功させるために具体的に実施すべき15の項目を紹介します。
新規事業のアイデアを考える
経営資源を整理し、自社の強みが明確になったら、次に具体的なアイデアの落とし込みを行います。新規事業において良いアイデアは、ビジネスの成否を左右する重要な要素です。良いアイデアとは、顧客ニーズを満たすだけでなく、自社の強みを活かせる事業を選ぶことが大切です。自社の強みを活かすことで、市場での優位性につながります。
しかし、闇雲に考えたり、ひらめきに頼って良いアイデアを出すのは非常に難しいものです。新規事業に求められるアイデアの考え方として、一般的に「新規性」「解決性」「収益性」の3つに整理して考える方法があります。
新規性::どれだけ新しい価値を提供できるかという点。新規性が高い事業は、市場での優位性やポジションの確保につながります。
解決性: 顧客の悩みや課題を解消し、価値を提供できるかという点。解決性があるアイデアは、市場ニーズがあり、利益につながります。
収益性: アイデアを事業化した際にどれだけの収益が見込めるかという点。事業を継続するためには、収益性の確保が不可欠です。
また、効果的なアイデア出しのためには、フレームワークの活用が有効です。フレームワークは思考の順序を明確にするため、「時間の節約」「情報の効率的な整理」「抜けや漏れの防止」が期待できます。さらに、共通のフレームワークを使用することで、チーム内で情報共有がしやすくなります。
新規事業アイデアを誰かに壁打ちする新規事業アイデアを誰かに壁打ちする
新規事業のアイデアが出たら、次に第三者に壁打ちを依頼しましょう。壁打ちは、思考の整理や客観的な視点を得るための効果的な手法です。壁打ちの相手から新たな知見を得られることも期待できます。この壁打ちの相手ですが、新規事業のアイデアをより建設的に進めるためには、専門家に依頼するのが最も効果的でしょう。
良い成果を導くための壁打ちの準備として、伝えたい情報を明確にしておくことが大切です。新規事業のアイデアについて、NDA(秘密保持契約)の関係で伝えられない情報がないか確認し、共有できる情報を整理し、事業の内容は要点を押さえて伝えましょう。また、解決したい課題がある場合は、これまで何を行ってきたのか、何に困っているのかを整理し、目標と過程、課題を明確にしておくことで、より具体的なアドバイスが得られるでしょう。
市場調査や競合調査を行う
新規事業のアイデアを壁打ちした後、事業の候補が固まったら、次に市場調査や競合調査を行いましょう。新規事業のアイデアが市場でどの程度の価値を持ち、どの市場をターゲットにすべきか、事業の実現性を判断するための重要なプロセスです。
ターゲットとなる市場の調査や競合調査は、新規事業を成功させるうえで非常に重要です。市場分析を行い、対象市場の規模、顧客数、成長性の高い分野であるかどうかを確認します。また、参入企業数や競合他社の動き、業界の動向やトレンドも把握しましょう。
さらに、市場は常に変化しているため、現時点の外部環境だけでなく、将来の市場予測も考慮することが重要です。分析を行う際は、第三者の視点も取り入れて、入念に行うようにしましょう。
製品やサービスを開発する
市場調査や競合調査を通じて顧客のニーズを把握し、ターゲット市場が決定したら、製品やサービスの開発に進みましょう。
製品やサービスがどのターゲット層に訴求するのか、どのように活用されるサービスなのか、また、どのような技術を活用するのかを踏まえ、コンセプトをまとめます。同時に、売上目標やコストの試算を事前に行い、開発の予算やスケジュールも含めた計画を立て、プロジェクトメンバーと認識を共有しましょう。さらに、開発した製品やサービスは市場に提供する前に、プロトタイプの制作やテストも実施しておくことが重要です。
事業計画を立てる
製品やサービスを開発したら、次に事業計画書の作成を行いましょう。新規事業を立ち上げる際には、社内の承認を得たり、金融機関からの融資を獲得したりするために、社内外の理解を得ることが不可欠です。そのためには、新規事業の事業計画書を作成する必要があります。
事業計画書には、市場動向や競合分析などの根拠となるデータを示し、その新規事業が成功する見込みがあることを示す必要があります。
一般的に、事業計画書に盛り込むべき内容には、以下の項目があります。
ビジネスモデル
事業収支
マーケティング
販売手法
新規事業の事業計画書は、目的や提出先によって盛り込むべき内容が異なる場合がありますが、押さえておくべきポイントとして、「内容を明確にすること」「取り組む意義を明確にすること」「根拠を明確にすること」を意識して作成しましょう。
マーケティング戦略を立てる
事業計画を立てたら、次にマーケティング戦略を実行しましょう。マーケティング戦略とは、「誰のどんな課題を解決するのか、それをどう届けるのか」を明確にし、市場にどのように認知させるかを決めることです。
具体的には以下のステップがあります。
顧客・競合・自社を徹底的に分析する
顧客ターゲットとポジショニングを決める
マーケティングのフレームワークやツールを組み合わせ、顧客の購買行動を促進する
テストマーケティングを行う
マーケティング戦略は、新規事業の立ち上げ時だけでなく、継続的に見直し、改善を繰り返すことが重要です。戦略を考え、練り、検証し、実行するサイクルを継続的に回すことが成功につながります。
カネ(経営資金)を用意する
マーケティング戦略の次は、資金の準備を行いましょう。新規事業の立ち上げから創業期、軌道に乗った後の運転資金まで、資金の確保は非常に重要です。資金調達は、自己資金や金融機関、銀行からの融資などの方法で行う必要があります。
新規事業の立ち上げに利用可能な融資にはさまざまな種類がありますが、公的機関・民間金融機関を問わず、どの融資にも審査があります。融資を受けるためには、審査に通過することが必要です。各審査機関によって審査基準は異なりますが、自己資金の準備に加え、創業計画をしっかりと立てているかどうかが重要なポイントとなります。希望する融資の募集要項を確認し、審査基準を把握したうえで、審査通過に向けた計画を立てることも大切です。
また、融資希望額を申請しても、審査の結果、希望額が満額ではないケースもあります。そうした場合に備え、事業に必要な自己資金を準備することも重要です。
さらに、融資が実行された後、返済に無理が生じて事業運営が滞るリスクも考慮すべきです。借入金の返済計画が現実的でない場合、経営状況が厳しくなり、事業の展開が難しくなる可能性もあります。起業時に受けられる融資額だけでなく、返済計画が無理のない範囲であるかをシミュレーションし、十分に検討しましょう。
モノ(設備)を準備する
資金調達が完了したら、いよいよ事業運営に必要な設備などのリソースを確保します。新規事業の立ち上げ時には準備や手続きが多いため、最低限の設備が整っていないことで事業が滞ることのないよう、必要な設備や備品をリスト化しておきましょう。
ヒト(人材・人的資源)を集める
資金と環境が整ったら、次にプロジェクトを推進するチームメンバーを集めましょう。メンバーの役割分担と責任を明確にし、バランスの取れたチーム構成にすることが重要です。
また、専門的な知識を持つ人材をチームに加えることも大切です。自社にそのような人材がいない場合は、新たに専門家を招き入れたり、外部人材を活用することも検討しましょう。
新規事業の立ち上げにおいては、多様なスキルや専門分野の知見を持つメンバーの確保が必要ですが、人数が多すぎるとスピード感が失われたり、人件費が増加するリスクがあります。まずは、ミニマムなチーム構成から始めることが望ましいです。
時間を作り出す(立ち上げメンバーを頼る)
新規事業のプロジェクトチームにおいて、チームづくりは非常に重要です。チームメンバーがそれぞれ別の方向を向いていては、良いパフォーマンスは期待できません。良いチームとは、共通認識や共通言語を理解し、常にどのようなアクションを起こすべきかを考えられるチームです。そういったチームでは、メンバーのマインドも育ちやすくなります。そのためには、コミュニケーションが欠かせません。
コミュニケーションを促進するためには、定期的なミーティングやフィードバックの機会を設けることが効果的です。これにより、メンバー間の信頼関係が強化され、迅速な意思決定が可能になります。
情報を守る・活用する
プロジェクトチームを効果的に運営するためには、情報の活用が重要です。データ分析ツールや顧客管理ツールを活用し、自社の商品やサービスに新たなターゲットを開拓できないか、商機を狙うことが有効です。これらのツールを利用することで、新規事業の立ち上げや運営が効率化され、成功に繋がる可能性が高まります。ぜひ、積極的に活用してみましょう。
知的財産を守る
新規事業で開発した製品やサービスの名前、デザイン、技術的アイデアについては、他社に模倣されないよう、また自社が知らずに他社を模倣してしまわないよう、注意が必要です。注意すべき知的財産には、発明や考案に対する「特許権」、商標に対する「商標権」、デザインに関する「意匠権」があります。
これらの権利は知的財産として特許の対象となります。特許権は、開発したアイデアに関する独占権であり、特許を保有することで他社に使用されることを防ぎ、市場における競争優位性を確保できます。また、特許をライセンスとして提供することで、技術を他社に使用させることにより収益を拡大することも可能です。知的財産を保有することは、企業として競争の優位性を獲得する強力なツールとなります。
事業撤退ラインを事前に決定する
新規事業には不確定要素が多く、必ず成功するとは限りません。事業の撤退判断が遅れることで経営が悪化しないよう、撤退基準を事前に決めておくことが重要です。
一般的に、事業の撤退タイミングは複数の指標やリスクを考慮して判断されます。
計画に対する達成率、売上額、利用者数、サービスの利用回数などの「KPI達成率」
会計上の損益(PL)や投資回収率などの「キャッシュベースでの判断」
これらを参考に、重視する指標やリスクを整理し、明確な撤退基準を設定しておきましょう。
新規事業への愛情を持つ
新規事業を成功させるためには、その事業に対する愛情と情熱が不可欠です。事業が順調に進まないときこそ、モチベーションを維持し、進み続けることが大切です。
モチベーションを維持するためには、新規事業のビジョンを共有し、目指す方向性を全員で共通認識することが重要です。共通のビジョンがあれば、困難な状況でも全員が同じ方向を向いて行動でき、モチベーションを保ちやすくなります。
また、ビジョンを社内だけでなく社外にも積極的に発信することで、顧客やパートナーからの共感を得ることができます。共感を得ることは、プロジェクトの社会的意義を強化し、チームの士気を高める要因となります。
さらに、顧客や社内のメンバーから共感を得ることで、新しいアイデアやアプローチが生まれやすくなります。イノベーションは共感を基盤に築かれることが多く、共感を得られることで新規事業が社会に与える影響が大きくなり、プロジェクトに対する愛情も深まります。
新規事業の評価及び改善を定期的に行う
新規事業が立ち上がった後、製品やサービスの質を向上させるためには、定期的な実績の検証が欠かせません。
具体的には以下の取り組みが必要です。
顧客からのフィードバック収集
マーケティングの評価
競合企業との比較
これらの結果をもとにビジネスプランを改善し、新規事業を継続的に進化させていきましょう。
まとめ
新規事業の立ち上げを成功させるためには、計画的かつ体系的なアプローチが重要です。まず、自社の経営資源をしっかりと整理し、どのリソースを活用できるかを把握します。
次に、アイデアの発想から市場調査、ビジネスモデルの策定、資金調達、チームビルディング、法務の確認、リスクマネジメントなど、具体的な15の項目を実施することで、新規事業の成功率を高める方法をご紹介しました。
また、新規事業の立ち上げにお困りの場合は、新規事業創出に強い外部のプロフェッショナルに相談する方法もあります。
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